別名3-4-3ダイヤモンドと呼ばれ、アヤックスやバルセロナ、アルゼンチン代表が有名な布陣。前者はトータルフットボールやパスサッカーを体現したようとした。 後者のアルゼンチンは、同じフォーメーションでも2つのパターンがある。
ひとつは超攻撃的パスサッカーのメノッティ監督の方針でパスサッカーの体現。 もうひとつは超守備的現実主義者のビラルド監督の方針で主にブラジルに対抗するための布陣。 メノッティ監督は78年、ビラルド監督は86年のワールドカップを優勝導いた名将。 そのため考え方で派閥が生まれ、メノッティ監督、ビラルド監督の考え方を継承した監督をメノッティ派、ビラルド派と呼んでいる。 ちなみに本人たちはワールドカップでこのフォーメーションをほとんど使用していない。
この布陣選手間が均等に配置されている為、ピッチをワイドに使い選手と選手の距離間を縮めたり広げたりしてパスサッカーを展開するのが基本。 特にこの布陣だとパス展開が非常にスムーズにできるが、3バックでこれをやると最終ラインのケアが難しくCBの負担が大きい。
アルゼンチンの場合はメノッティ派、ビラルド派によって異なる。 共通しているのはOHに一旦ボールを預けて、OHはCFや両WGの攻撃の起点になったり、WBにオーバーラップさせたり、自ら切り込んだりとマークされつつも自由にプレイすることが多い。そのため別名「王様システム」と呼ばれる点。 (ビラルド監督の時はマラドーナがいたからそう見えていたかもしれない。) 守備に関してはWGとOHがスペースを埋つつDHを中心として守備をするのが基本。サイド攻撃に対してはWBとCBの計2人がマークして防ぎ残りのCB2人とDHでゴール前を固めてクロスに備える。 だだし、同じことをしているのにメノッティ派はポゼッション重視でビラルド派はダイレクトプレー重視なため、見比べるとかなり違う。 ビラルド派は相手によって布陣を変えるため4バックのときもある。さらに、ビラルド派のこの布陣は親善試合がほどんど。公式試合は攻撃の起点を封じられないように王様を2人にする。
メノッティ派のビエルサ監督はWGが大好きで本来このスタメンなら3-5-2(3-3-2-2)の方が良いはずだがこの布陣になった。 ベロンが攻撃の起点となり果敢に攻めるスタイル。ソリンとサネッティの運動量で攻守をサポートした。
大会結果はアルゼンチンが苦手なサイドアタックを得意とするイングランドとスウェーデンと同じグループリーグに入り決勝トーナメントには行けなかった。 しかし、積極的なプレーでメノッティ派らしいプレーで観衆を沸かせた。
常に3人以上のパスコースできるようにして極力ボールをキープできるように、WGと最終ラインの左右のCBがワイドに開き、逆にWBを内側にした布陣。 試合を見るとボールを奪われなければ失点しないことを改めて痛感するほどのパスワークで魅力のあるサッカーが見れる。ただし、奪われ方が悪いとあっさり失点。 パスワークが悪いときの試合を見ると時間稼ぎしている時の退屈なパス回しにも見える。テクニックと度胸のいる布陣なのは確かでワクワクする人と心臓に悪いサッカーと意見が分かれそうだ。
どちらにしろこのアヤックスは95-96の決勝でユヴェントスに敗れるまでCL19連勝という偉業を成し遂げた素晴らしいチームだった。